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ビジネス:San-J 佐藤隆社長

San-Jの佐藤隆社長に消費者ニーズにマッチしたグルテンフリー醤油を始めとする挑戦についてお話を伺いました。

変革が築いた210年の歴史

江戸時代の創業、桑名藩の御用商人で回船問屋って、まるで時代劇のような世界ですが、8代目というプレッシャーはありますか?

うちは210年の歴史がありますが、いわゆる醸造業会では8代目はそんなに古くなくて、300年400年の歴史がある所がざらにあります。でもアメリカに来ると210年というのはほとんどこの国の歴史と同じなので驚くアメリカ人を見て「あ、結構長いんだ」と改めて意識します。

それにしても8代続くって凄いです。

確かに同じ物を作り同じ物を売っていたらこの210年という歴史はなかったでしょう。社会も人も常に変わり続けている中では商品自体も変わって行かなければならない。それでその時にどんなニーズが商品に対してあるのか、それを受け入れてそのニーズに対して醤油も変えて行く。それが出来て来たからこの210年という歴史があるのではないかと思います。

先代のお父様の時にも大きな変革があったそうですが。

父は次男だから家を次ぐ必要はありませんでした。だから醤油をやらずにトヨタで働いていたのです。でもアメリカでのビジネスの機会が増えてニューヨークのお寿司やさんとかにアメリカ人を連れて行くと「初めて食べたけど、うまいじゃないか」ということになって、これは車もいいけど醤油も良いかもしれないと思って、それで醤油屋に戻ってアメリカに会社を立てたのです。

だけどアメリカに会社を立てる時に既にキッコーマンは大きくて、だから同じ商品を作ってもだめだと、それでどういう物を作ろうかとなった時に父が出会ったのがヒッピーだったのです。

は?ヒッピーってあのヒッピー?

70年代はまだヒッピーが元気でした。ヒッピーって基本的にインテリで興味を持つと色んな事を調べます。その中でその土地その土地、季節季節のものを食べる自然に近い形の食事の取り方をする東洋の食品は自分たちの考えに合っているんじゃないかとなり、それで東洋食品のキー素材は何か、それはミソと醤油だということで自分たちで調べて、三重県の桑名まで来たのです。それで家の父親が彼らに会って、彼らのムーブメントは面白いから彼らの求めるような物を作ろうとなったのです。それが有機だったり農薬を使わない醤油だったのです。

それは画期的だし先見の明がありましたね。まずは有機醤油に始まり、その次の変革は?

日本の溜まり醤油を作っているたまり醤油屋さんはほとんど小麦を入れています。だけどアメリカに来てみると醤油に対して新たなニーズを持っている人がいました。例えば小麦アレルギーを持っているけど醤油を楽しみたいという人ですね。生産者側としては香りもつけやすく価格も安い小麦を使った方がいいのだけど、実際使って貰う人達にそういうニーズがあるならそこはうちががんばって小麦を抜いた物を作ってみようと、それで80年代父の時代に実際アクションをおこしたのです。

大豆だけのお醤油改革は商品化までにどのくらいかかったのですか?

アメリカに工場を作ったのが1987年で最初に小麦を抜いた商品を売ったのが1990年なので3年かかりました。

 

社運をかけた一大決心

そして8代目佐藤社長の代での変革は?

もともと家は有機のものと有機じゃないものと2種類の醤油がありました。有機のものは小麦を抜いていたのだけど、有機じゃない物は小麦が入っていたのです。その時に僕が思ったのは小麦フリーが欲しい人はこれを買わないといけない。でもこれ4ドルもするのです。アレルギーだけど有機じゃなくていいやという人たちもいます。だったら2ドル50でアレルゲンを抜いて欲しいという人がいるのじゃないかと思ったのです。小麦アレルギーのために食事に制限がかかってしまう人達に貢献したかったので、僕が開発を始めて有機じゃないほうもグルテンフリーにしました。2007年に開発を始め2010年に売り始めました。

まさに今のグルテンフリーブームにマッチした商品開発ですね。だけど売り上げを考えたらかなりリスクがあったのでは?

有機じゃない低価格の方をグルテンフリーにすることで何が起きたかというと、今までうちの商品は高い店にしかおいていなかったのですが、価格帯が安いからジャイアントとかセーフウェイという所にも入り始めたのです。

うわー、販路拡大。でもそれって社運をかけた一大決心だったんじゃないですか?

アメリカのセールスマンからはやめたほうがいいと言われました。だけど求められる形に醤油を変えて行かないといけない。それがこの時代はやっぱりグルテンフリーだった。結果としてどうなったかというと、有機じゃない溜まりはずっとフラットだったのがグルテンフリーにした事で一気に売り上げが伸びたのです。それで、有機の方も売り上げが落ちていない。

8代目の改革も素晴らしい!そして今後も変革の歴史は続いて行くかと思いますが。

次はおいしくて健康にも良くかつ地域にも環境にも良い、これがこれからやらなきゃいけない事だと思っています。

ますますSan-J醤油のファンになっちゃいました。ありがとうございました。